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リツコ:「今の憲法には、国民の権利ばかり多く書かれていて、義務が少ない、
と言っている人がいますが、それでいいんでしょうか?」
先生:「確かに、思想良心の自由、表現の自由、学問の自由、信教の自由など、自由や権利は多いですが、義務は、納税、勤労、子どもに教育を受けさせる義務
の3つしかありません。単純に数だけ比較すれば、権利の方が多いわけですが、憲法はそれでいいんです。」
リツコ:「国民の義務は少な
い方がいいからですか?」
先生:「実は、国民の義務は、憲法よりも、法律にたくさん規定されているんですよ。たとえば、子どもが生まれたら、14日以内に出生届けをださなければな
らない(注:戸籍法49条)とか、自動車は道路の左側を走らなければならないとか、自動車を運転していて、不注意で人にけがをさせたら、損害賠償しなけれ
ばならないとか、契約は守らなければならないとか、いくらでもあるので、かぞえたらきりがないですね。してはいけないこともたくさん規定されています。人
を殺してはいけないとか、人のものを盗んではいけないとか、これも挙げたらきりがないですね。」
リツコ:「そんなに、かぞえ
きれないほどの義務があるのなら、『義務が少ない』などということがあるわけないですよね。でも、憲法に義務が少ないのはどうしてですか?法律で規定して
いる義務を憲法に書けば、そのようなことを言われなくても済むのではないでしょうか?」
先生:「本来、憲法に国民の義務を書く必要はないのですよ。憲法というのは、国民が国家機関(注:国会、行政官庁、裁判所、地方公共団体等、「政府」とも
いう。)に対して、これだけの権限を与える、その代わり、国民の基本的人権は、侵害してはならない、と定めるものだからです。憲法41条で、国会に立法権
を与えていますよね。憲法31条では、法律の規定によらなければ国民の生命、自由を奪ったり、刑罰を科してはならないと規定されています。逆から読めば、
国会が作る法律で国民に刑罰を科すことができるということですよね。29条では、財産権の内容は、法律で定めると規定されていて、財産権も法律で制限でき
ることになります。国民同士の間で、他人の権利を侵害しないように法律で義務が定められたり、禁止事項が規定されているわけで、その法律に違反したら、刑
罰やいろいろな制裁が用意されているわけです。そのような大きな権限を憲法によって国民は国家機関(注:国会、行政官庁、裁判所、地方公共団体等、「政
府」ともいう。)に委任しているんですね。だから、政府の大きな権限をもってしてもここだけは侵してはいけないという領域を、『基本的人権』として、国民
の側に確保しているわけです。憲法に義務を書く必要があるとしても、納税の義務くらいでしょうか。政府にこれだけの仕事をやりなさいと決めているわけだか
ら、政府が仕事をするためには費用がかかるので、その費用を払うために国民は税金を払わなければならないというわけですよね。」
リツコ:「そうか、憲法で国
民が国家機関に、国民を縛る法律を作っていいよ、国民が法律を守らなかったら罰していいよ、と大きな権限を与えているから、『これだけは奪ってはいけな
い』という基本的人権を定めているんですね。憲法に権利が多くて義務が少ない理由がわかりました。」
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