|
ケ
ン太:「先生、憲法って、何のためにあるの?」
先生:「まず、政府って何のためにあるか、考えてみようか。戦国時代には、日本には強い政府がなかったから、武田(たけだ)信(しん)玄(げん)などの戦
国大名が家来や農民に武器を持たせて、自分の領地を自分で守っていたんだよね。自分の命や財産を狙われたら、自分の武器で闘って守っていたんだよ。」
ケン太:「それじゃ、夜も安心し
て寝ていられないよね。」
先生:「それでは、江戸時代はどうだったかな?多くの戦国大名が争っていた戦国時代を、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった武将が勝ち抜いて、全国統一
をして、徳川幕府(注:将軍を頂点とする武士による政府)という強い政府ができた。江戸時代では、盗人(ぬすっと)(注:昔の泥棒のこと)や人殺しがいた
ら、岡っ引き(注:町人だが、奉行所(ぶぎょうしょ)(警察署兼裁判所)から雇われて警察官のような仕事をしている人。例えば、銭形平次(野村胡堂原作の「銭形平次捕物控」の主人公)がしょっ引いて(注:縄をつけて逮捕すること)きて、お奉行様(注:町
奉行のこと。大岡(おおおか)越前(えちぜん)守(のかみ)や遠山の金さん(陣出達朗作の「遠山の金さん」の主人公、本名遠山左衛門尉景元または遠山金四
郎景元)。現代で言えば裁判官)がお裁きを下し(注:判決を言渡すこと)て、盗人を牢屋(注:刑務所)に入れたり、島流し(注:佐渡島や八丈島のような遠
い島に送り出して、強制労働をさせること。)にしていたよね。そのように警察がしっかりして、取締りがされていれば、安心して夜寝られるわけだよね。」
ケン太:「でも、むかしは容疑者
(注:犯罪を犯したとして疑われている人)を拷問したりして、無理やり自白させたことも多かったんじゃない?」
先生:「そうだね。政府の力が強すぎると、無実の人まで罰を受けることになってしまうね。それじゃ、どうしたらよいかな?」
ケン太:「証拠がなければ容疑者
を逮捕(注:逃げられないようにつかまえておくこと)したり、有罪にしたりできないように法律を作ったらいいんじゃな
い?」
先生:「そういうことを決めているのが憲法だよ。憲法33条では、裁判官が発行する逮捕令状(注:警察官に容疑者を逮捕することを許可する書類)がなけれ
ば逮捕できないと決めているし、憲法38条では、証拠が自白(注:自分から罪を犯したことを認めること)しかない場合は、有罪にできないと決められている
でしょ。」
ケン太:「それじゃ、政府は、泥
棒や人殺しを捕まえて処罰させるのが仕事で、無実の人を罰しないように決めているのが憲法ということ?」
先生:「それが政府の最低限の役割だけど、それだけじゃないね。会社が倒産して、失業した人たちが生活できなくなるといけないので、失業手当を支給した
り、病気で働けなくなった人たちのために生活保護を支給したり、定年退職した人たちのために、年金を支給するとかいうことも政府の役割なんだよ。」
ケン太:「それなら、安心して暮
らしていけるね。政府の力が強いから、国民の権利を侵害しないようにと歯止めをかけているのが憲法なんだね。」
先生:「そうだよ。憲法は、国民を守ってくれる最後の砦なんだ。」
|