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1時間で分かる憲法の話


*文章中の「→対話で学 ぶ」をクリックすると、さらに理解が深まる対話が出てきます。各UNIT全 部をとおして見たあとに「→ 対話で学ぶ」に進むことをおすすめします。

*日本国憲法には、ここで取り上げ るテーマ以外についても、重要なテーマがたくさんあります。ここでの勉強をステップにして、いろんな憲法に関する本や教材などにチャレンジされることをお すすめします。

*記述には偏りや誤解が生じないよ うに十分配慮してますが、憲法には様々な理解の仕方や様々な意見の対立がありますので、みなさんのさらなるチャレンジによって、みなさん自身にとっての憲 法を探し当ててください。

 

UNIT1 UNIT 1 さあ、憲法の勉強をはじめよう
UNIT2   UNIT 2 日本国憲法の位置 −「最高法規」の意味−
UNIT3 UNIT 3 日本国憲法の体系 −人権と統治機構−
UNIT4 UNIT 4 日本国憲法の基本原理
UNIT5 UNIT 5 人権 @ −自由の保障とその限界−
UNIT6 UNIT 6 人権 A −生きるための権利−
UNIT7 UNIT 7 統治機構@ −立法のルールと国会−
UNIT8 UNIT 8 統治機構A −行政のルールと内閣−
UNIT9 UNIT 9 統治機構B −裁判(司法)のルールと裁判所−
UNIT10 UNIT 10 憲法改正

 

UNIT1  さあ、憲法の勉強をはじめよう

 世界にも、日本にも、みなさんが暮らす地域や家庭にも、いろんなところにルールがあります。またルールにも いろんな種類のルールがあります。国と国との間で結ばれる国際条約や、日本の法律、都道府県や市町村などの地方自治体がつくる条例、職場の就業規則、学校 の校則など、例をあげれば数えきれないほどたくさんのルールがあります。
  その中で、このオンライン市民講座では、日本の法律の中の「最高法規」とされる憲法について勉強していきます。現在の日本の憲法である「日本国憲法」に は、いったい何が書かれているのでしょうか。またどうして憲法が必要なのでしょうか。みなさんとともに考えていきたいと思います。

 

UNIT2  日本国憲法の位置 −「最高法規」の意味 −

 日本国憲法98条は、「この憲法は、国の最高法規・・・」と定めています。この「最高法規」 とは、一体どのような意味なのでしょうか。一言で言うと、日本のルールの中で憲法が一番偉いルールであって、誰もが守らなければならないルールだというこ とです。
続いて日本国憲法98条は、「その〔憲法の〕条規に反する法律、命令、詔勅 及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と定めています。したがって、もし、日本国憲法に反する法律がつく られたり、日本国憲法に反することを国会議員や公務員が行なった場合には、これらは「無効」になってしまうのです。
結局、日本国憲法が日本の「最高法規」であるということの意味は、日本の中の法律やその他のさまざまなルール、国・地方自治体・国会議員・裁判官その他の 公務員などが行なう行為は、日本国憲法に反することができない、ということをあらわしているのです。
後でもふれますが、日本国憲法には、自由と平等を基調とする社会をつくり、みんなが人間らしく生きてゆくことを保障するといった根本的な目的があります。 この目的を達成するためには、日本という国家の基本的なルールがきちんと最高法規である憲法によって定められている必要があります。ですから、日本国憲法 はこの国の最高法規とされているのです。
なお、国家権力(立法・行政・司法など。UNIT7〜UNIT8参照。)を憲法によって枠付けることによって、人権保障(表現の自由・職業選択の自由な ど。UNIT5参照。)を実現しようとする考え方を「近代立憲主義」といいます。憲法98条はこの考え方があらわれている規定のひとつだといえます。→対話で学ぶ〔001〕

 

UNIT3  日本国憲法の体系 −人権と統治機構−

 日本国憲法の内容に入る前に、日本国憲法にはどのようなことが書かれているのかを大まかに整理しておきま しょう。
【1】人権規定
日本国憲法には、私たちが「人間らしく生きてゆくために最低限必要な人権」に関する事柄が数多く定められています。個人の尊重原理・平等保障にはじまり、 奴隷的苦役の禁止、思想・良心の自由、信教の自由、言論・出版その他の表現の自由、職業選択の自由、学問の自由、健康で文化的な最低限度の生活を営む権 利、労働基本権、私有財産制、裁判を受ける権利など、様々な人権に関する事柄が定められています。これらをまとめて「人権規定」などといいます。また、こ れらの様々な人権をまとめて「基本的人権」といいます。それぞれの人権に関しては別のUNITでふれていくことにします。→対話で学ぶ〔002〕
【2】統治機構
また日本国憲法には、「日本の国家や政治のあり方などに関する基本的な事柄」も数多く定められています。以下のような国家の基本的なルールに関する事柄を まとめて「統治機構」に関する規定などといいます。

  1. 法律をつくる(立法)ための基本的なルールや立法を行なう国会(立法機関)に関する事柄
  2. 紛争や法律上のいろんな争いごとなどを解決する(司法)ための基本的なルールや司法を行なう裁判所(司 法機関)に関する事柄
  3. 道路をつくったり社会保障制度を運用したりその他様々な立法・司法以外のこと(行政)を行なうための基 本的なルールや内閣(行政機関)に関する事柄

 日本国憲法が定める統治機構は、以上のように、@立法、A司法、B行政の三つの機関を分けて規定していま す。これを権力分立(三権分立)の原則といいます。→対話で学ぶ〔003〕
【3】その他の規定
さらに日本国憲法には、天皇に関する事柄、戦争放棄に関する事柄、国の財政や予算に関する事柄、地方自治に関する事柄、憲法改正に関する事柄のほか、 UNIT2でも紹介した最高法規に関する事柄などが定められています。
これら【2】【3】についても必要に応じて別のUNITでふれていくことにしますが、およそ日本国憲法には、以上の【1】【2】【3】のような事柄が定め られているということをおさえておいて下さい。

 

UNIT4  日本国憲法の基本原理

 日本国憲法の前文(第1条以下の条文の前提として書かれた文章)や第1条以下の各条文を読み込んでいくと、 日本国憲法には、次のような基本原理(日本国憲法を支える根底的な原理)があると考えられています。

  1. 基本的人権尊重主義(先ずは何よりも個人の基本的人権の保障を大切にしようとする考え方)
  2. 国民主権主義(基本的人権尊重主義を貫くためには、国政を最終的に決める権限は国民になければならない とする考え方)
  3. 平和主義(基本的人権尊重主義や国民主権主義を貫くためには、その前提として平和が維持されていなけれ ばならないとする考え方)

 日本国憲法を読み進めていく際に、言葉の意味や理解の仕方などについて迷ってしまった場合などには、この三 つの基本原理を手がかりにすると、ヒントになる場合があります。

  なお、この三つの基本原理については日本国憲法の前文といわれる部分から読み取ることができます。是非、日本国憲法の前文にチャレンジしてください。→ 日本国憲法前文

 

UNIT5  人権 @ −自由の保障とその限界−

 私たちは、一人ひとりが誰でも平等な「人権の持ち手」です。そして、本来、私たちは、一人ひとりが「自由な 存在」です。もちろん現実に社会生活を営むうえでは、たとえば学校や職場などで、すべて一人ひとりのあらゆる自由がパーフェクトに通用するわけではないと いうことは、みなさんもご承知のことと思います。あるいは、この社会はむしろ不自由であると感じている人もおられるかもしれませんね。
しかし、本来、私たちは、一人ひとりが「平等」で「自由」な存在です。そのことを前提として、日本国憲法は、私たちが人間らしくいきてゆくために必要な人 権のうち、とても重要な人権をとりあげ、その人権を「侵してはならない」こと、そしてその人権が私たちに「保障」されていることを確認しています。また、 憲法14条は「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社 会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定めて、差別なく平等な扱いを受けることを人権として 保障しています。→対話で学ぶ〔004〕
もちろん、日本国憲法に定められている人権だけがすべてではありません。人間として当然に保障されなければならない人権は、憲法に定めがなくても保障され ます。
ここでは、様々な人権のうち、とくに「自由」の保障について整理します。そこで次にあげるそれぞれの「自由」が、いったいどのような自由なのか?につい て、みなさんなりに想像してみてください。どのように想像しても、みなさんの「自由」です。

  1. 自分のライフスタイル(いかに生きるか)を自分で決める自由
  2. 思想・良心の自由
  3. 信教の自由
  4. 言論の自由・表現の自由
  5. 居住移転の自由
  6. 職業選択の自由
  7. 学問の自由
  8. 営業の自由
  9. 人身の自由・行動の自由

 みなさんがこのような様々な自由を満喫することは当然に自由ですが、満喫しないことだってみなさんの自由で す。つまり、自由は自由だからこそ自由であり、強制されたら自由ではなくなってしまうのです。
しかし、この自由は、どこまでも際限なく無制限に保障されるわけではありません。たとえば、ライフスタイル決定の自由があるといっても満20歳未満の人が 喫煙や飲酒をすることは禁止されます。言論の自由が保障されるといっても、他人のプライバシーや名誉を傷つけてしまうような言論は放置することはできませ ん。→対話で学ぶ〔005〕ま た営業(ビジネス)の自由が保障されるといっても、他人が生きてゆくために必要な財産まで奪ってしまうようなビジネスまで許されるというわけではありませ ん。
つまり、自由の保障にも一定の限界があるわけです。しかしながら、ここでは次の点がもっとも重要です。自由保障が制限を受けるのは、先の例のように、未成 年者の健康や発育のために必要だったり、他人を傷つけたり、社会の人に現実に迷惑をかけてしまうような場合など、ほかにも守らなければならない具体的な利 益がある場合に限定されるということです。したがって、たとえば「社会の発展のため」などという具体性のない理由では、自由を制限することはできないので す。→対話で学ぶ〔006〕
それでは考えてみましょう。たとえば「他国の攻撃から国家の安全を守るため」とか「いつ何時でも国民の生命や財産を守るため」という理由によって、土地所 有の自由に対する制約(国による強制収用)があったとしましょう。果たして、このような制約は、許されると考えますか?それとも許されないと考えますか? 答えはいろいろあります。まずは、みなさんが「自由」に考え、意見を述べ合ってみることが大切です。

 

UNIT6  人権 A −生きるための権利−

 UNIT5で見たように、私たちは「自由」に生きてゆくことができる存在です。心の中はもちろんのこと、い ろんなことを学んだり、いろんな仕事をしたり、どこにいくにしても、何をするにしても、他人に迷惑をかけたりしない限り、「自由」にライフスタイルを決め て、夢や希望に向かって歩んでいくことが保障されています。
 しかし、現実には、自由競争の経済社会の前に、明日の食事、今日の食事さえままならない生活を余儀なくされてしまう人たちが沢山いるのです。そうなって しまうと、夢や希望があっても、そこに向かって歩んでいくことは、たいへん難しい状況になってしまうでしょう。
 そこで、憲法25条1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生 活を営む権利を有する。」として、たとえ私たちが事業に失敗して経済的に破綻してしまったとしても、また様々な理由で経済的に苦しい状況に 立たされたとしても、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)を私たちに保障しているのです。→対話で学ぶ〔007〕
 また、私たちが「自由」に生き方を決めて、夢や希望に向かって歩んでいくことが保障されるとしても、かつてのいたましい大戦のように、ひとたび戦争状態 になってしまえば、私たちの「自由」はおろか、生命までもがおびやかされてしまいます。そこで、日本国憲法前文では、私たちに「平和のうちに生存する権利」(平和的生存権)があることを宣言してい ます。さらにこうした事態にならないようにするために、憲法9条1項では、「・・・ 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定め、続く2項で は、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しな い。・・・」と定めています。→ 対話で学ぶ〔008〕

 以上のように、日本国憲法には、私たちの「自由」を保障する前提として、「生存権」や「平和的生存権」があることを明記しているのです。

 

UNIT7  統治機構@ −立法のルールと国会−

 日本国憲法は、日本の法律をつくるための基本的なルールを定めています。
まず法律をつくる場(機関)は、「国会」であると定められています。また、国会での仕事(立法)を慎重にすすめたり、あるいは緊急事態などに対応するた め、「国会」は「衆議院」と「参議院」の二つに分けられています。
憲法43条1項は、いずれの議院についても、「全国民を代表する選挙された 議員でこれを組織する。」を定めています。つまり、国会は、私たちの生活を直接に規律する法律をつくる場であり、私たちの意見を十分に反映 させる必要があることから(国民主権原理)、私たちが選んだ国会議員で組織し、運営することになっているのです。
ところで、私たちが国会議員を選ぶことができる権利を参政権といい、参政権の代表格が選挙権です。憲法15条1項では、この選挙権を「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と 定めています。
実際に国会で仕事をするのは国会議員ですが、国会での仕事(立法)に私たちの意見を反映させるための重要な権利がこの選挙権です。選挙権は、成年者(満 20歳以上の人)に、「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又 は収入によって差別」されることなく平等に保障されています(憲法44条)。→対話で学ぶ〔009〕
なお、国会では、立法のほかにも次のような仕事をしています。どれも重要な国会の仕事ですので覚えておきましょう。

  1. 国会議員の資格を持ってない人の議席を失わせる(やめさせる)裁判
  2. 予算の審議
  3. 条約の承認
  4. 裁判官を罷免する(やめさせる)裁判
など。

 

UNIT8  統治機構A −行政のルールと内閣−

 行政とは何か?という問題は、非常に難しい問題ですが、ここではとりあえず、国会の仕事と裁判所の仕事以外 の国の仕事(道路をつくったり社会保障制度を運用したりすることなど。)といった程度とおさえておけばよいでしょう。
この行政は、「内閣」が統括的に担当することになっています。内閣は、一般行政のほか、次のような仕事もすることになってます。

  1. 天皇の国事行為(衆議院の解散など。)に関する助言と承認
  2. 国会の召集を決めること
  3. 国会でつくった法律を誠実に執り行うこと
  4. 政令(法律よりも細かな事柄など。)の制定
  5. 予算の作成(国会の審議にかけられます。)
  6. 条約の締結(国会の承認が必要です。)
  7. 最高裁判所の長官の指名
  8. F以外の裁判官の任命

どれも大切な仕事ばかりです。私たちの生活にも直接影響するような事がらもたくさん含まれています。そこで、 やはり国会と同じように、行政にもできる限り私たちの意見(民意)を反映させるシステムが必要となります。上記のDやEには国会の関与が必要とされていま すが、これは最も民主的な機関である国会が関与することによって、予算や条約に民意を反映させる趣旨です。
このほかに憲法は、「行政の民主的コントロール」を実現するために、以下のようなシステムを定めています。
【1】内閣の構成メンバー
内閣は、「内閣総理大臣及びその他の国務大臣」で組織されて いますが(憲法66条1項)、その首長たる内閣総理大臣は「国会議員」で ある必要があります(憲法68条1項)。また、国土交通大臣や文部科学大臣などの国務大臣は、内閣総理大臣が任命することになっていますが、「その過半数は、国会議員の中から選ばなければならない。」と定められ ています(憲法68条1項)。さらに、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、 文民(職業軍人や自衛官でないこと。)でなければならない。」と定められています(憲法66条2項)。このようにして、内閣の構成メンバー をできる限り多くの人材を国会議員から選ぶことによって、「行政の民主的コントロール」を実現しようとしています。
【2】議院内閣制
内閣は、その仕事について、国会に対して責任を負うこととされています(憲法66条3項)。また、内閣は、衆議院から「不信任」(信頼できないといった判 断)された場合には、原則として「総辞職」しなければなりません(憲法69条)。つまり、内閣は、私たちが選んだ国会議員が集う国会の中で仕事をして、国 会のコントロールを受けているといった側面があるわけです。
国会の仕事や裁判所の仕事のみならず、内閣の仕事もどれも大切なものばかりですが、それが民意からかけ離れてしまっては国民主権原理が行政の場面で埋没し てしまいます。ですから、先ずもってここで重要なのは、「行政の民主的コントロール」を実現するために憲法が用意したシステムをよく理解しておくことが重 要です。

 

UNIT9  統治機構B −裁判(司法)のルールと裁 判所−

 裁判所は、私たちの紛争(契約したのに相手がそれを守ってくれないとか、交通事故にあってケガをしたのに相 手が賠償金を支払ってくれないなど。)を民法などの「法律を適用」して解決してくれたり、犯罪を犯した人に刑法などの「法律を適用」して刑罰を宣告したり する場所であるということは、みなさんご存知のところだと思います。
このような裁判所の仕事も、私たちが幸せな生活を送っていくためにはたいへん重要です。日本国憲法は、この裁判所のあり方や裁判官の地位などについて、基 本的なルールを定めています。
 ところで、こうした社会生活一般に生じる紛争などについて、「法律を適用」することだけが裁判所の仕事ではありません。ときには国会がつくった「法律」 を否定して、憲法の人権保障の精神に根ざした裁判をするといった仕事をする権限も持っているのです。この権限を「違憲審査権」といいます(憲法81条)。
 国会や内閣では、ときとして国の利益や社会の利益を追求するあまりに、私たち個人の人権を必要以上に制約してしまう法律をつくったり、政策を立ててし まったりする場合があることから、憲法は、人権保障の最終手段として、裁判所に「違憲審査権」を与えているのです。→対話で学ぶ〔010〕
そして、裁判所にこのような人権保障の役割を果たしてもらうためには、裁判所や裁判官が国会や内閣から「独立」している必要がありますので、憲法では、裁 判官の独立に関する定めや、最高裁判所に裁判所内部の規律などに関する規則制定権があることなどを定めています。

とはいえ、裁判所の権力行使も国家権力にほかなりません。そこで憲法は「裁 判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行なう。」として(憲法82条1項)、密室の中の恣意的な裁判が行なわれることを防止してます。ま た、憲法32条は「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われな い。」と定めていますので、裁判所が裁判を拒否することは、私たちの裁判を受ける権利を侵害してしまうことになり、許されません。この裁判 を受ける権利も、私たちが幸せな生活を送っていくための大切な人権であるということも覚えておきましょう。

 

UNIT10  憲法改正

 以上のように、日本国憲法は、この国の最高法規として、私たちの人権保障に関する事柄(人権規定)と立法・ 行政・司法などの国家権力に関する事柄(統治機構)の両方を定めて、私たちの暮らしや生き方に直接影響する人権保障と国家権力のあり方に関する基本的な ルールを定めている法律です。この国に暮らしている私たちにとって、とても重要な法律であるということを感じて頂けたのではないでしょうか。
ところで、現在の日本国憲法は、第二次世界大戦終戦後の1946(昭和21)年11月3日に公布されて以来、現在に至るまで、日本の最高法規としてその役 割を果たしています。→対話で学ぶ 〔011〕この日本国憲法も、必要があれば「改正」できることになっています。この憲法改正については、憲法96条1項が、「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、 国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とす る。 」と定めています。つまり、憲法を改正するには、次の流れの手続を踏むことになります。

  1. 衆議院と参議院で総ての国会議員の3分の2以上の賛成でもって憲法改正案を国民に対して提案します。
  2. その後、憲法改正の国民投票にかけて、国民(国民投票の投票権者)の過半数の賛成があれば、国民が@の 提案を承認したことになります。

通常の法律をつくったりする場合には、国民投票が行なわれることはありませんが、憲法改正についてはこの国の 政治のあり方などの基本的なルールを決めるとても重要な作業であり、この国の基本的なルールは最終的には国民自身が決めるという発想(国民主権原理)か ら、国民投票が行なわれることになっているのです。→対話で学ぶ〔012〕

ただし、憲法改正の国民投票の前提として、私たちが憲法の役割や目的などを十分に理解している必要があります。この「1時間で分かる憲法」がそのための一 助になれば幸いです。

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