11月30日、仙台地裁で開かれた志津川法務局廃止処分の取消しを求める訴訟の第一回口頭弁論には、広島・関東・北海道・東北の全青司関係者や地元宮城の青年会や政連関係者など多数が傍聴した。
裁判官が口頭一番言ったことは、なんと被告は国か法務大臣なのかという問題であった。統廃合訴訟の先駆者である羽幌後藤訴訟原告の後藤委員によれば、行政訴訟において被告は誰かということだけで、一冊の本になるほど難解な問題であると書記官に言われたことがあるとかで、今回のような行政行為の取り消しを求める訴訟の場合は、その行為をした行政庁の長を被告とするはずと述べている。
志津川訴訟の原告である山内委員によれば、訴状提出の際、当初は法務大臣を被告としていたのを、書記官の強い指導によって国に訂正したとのこと、後藤委員によれば石川県の訴訟では国を相手に訴訟を提起して、法務省もそのまま応訴し、なんの問題もなく進んでいる例もある。
裁判所側は、今回の事件についての対応如何では、法廷が荒れるのではないかと心配していたようで、廷吏が傍聴者に問い聞きをしたりとやたら気にしていたようである。また、裁判長が、被告を国から法務大臣へと訂正したことについて原告側に問いただしながらも、その、根拠については非常に歯切れの悪い説明となった。もし、代理人が来ていなかったら、結審させようとしていたのではなかろうかと疑う声も傍聴席から聞こえたが、そうなったら傍聴席ではなく、原告本人が許さなかったであろう。
開廷直前に委任状を提出した弁護士も調査をしないとわからないとしながらも、いままで放置していた裁判所の態度を問題だとしている。
今回の訴訟は処分取消しの訴訟で行われるわけであるが、担当する弁護士たちは、住民運動の一環としてこの訴訟を位置づけるのであれば、高度な法律論争を避けて、住民にわかりやすい訴訟にする必要があるのではないかと意見を述べた。 弁護士によれば、法務局をどこに設置するかは行政の裁量によって決められることは争いのないところであるとしたうえで、今回の志津川法務局を近い登米ではなく気仙沼に統合するのは裁量の範囲なのかどうかを損害賠償という形で問うほうがわかりやすいとのことである。
しかし、一方では損害賠償は自分のためという誤解を生じやすく、今回のように特に司法書士・土地家屋調査士が原告になった場合、住民と遊離するのではないかという指摘もあるようだ。
広島法務局は10月21日、来年春に山県郡の千代田、加計両町にある出張所を可部出張所(広島市安佐北区)に統合する計画について、両町で初の説明会を開いた。地元住民は商工会関係者が中心となって100人近くが参加、地元銀行の支店長もはちまきを締めて反対の声を上げた。
一方の法務局側は加藤光明民事行政部長ら5人が出席、千代田町の商工センターでの説明会には管内の千代田、豊平、大朝3町の町幹部や町議会議員も出席した。
説明では、2001年度半ばに高田郡の吉田出張所も廃止する予定であることが報告されたが、地元側は「国の基準では、吉田も含めた圏域では出張所は一つおけるはず」と反論、法務局側は「生活実態に合わせて、可部の圏域に含めた方が便利」と理解を求めた。
広島法務局では、今回の統廃合は「自治省が作成した広域市町村圏」でなく、法務局の考えた「登記行政サービス圏」で統廃合しているとしている。
尚、統廃合の予定期日は、当初、地元には加計、千代田の2庁を別々の日で行うとしていたのを変更し、わざわざ、広島司法書士会の定時総会の日と重なる日を通告してきた。
一方、加計町での説明会には管内4町村の約50人が出席した。両会場とも再度の説明会開催を求めたが、法務局側は言明を避けたようだ。
清水全青司相談役は、10月20日韓国の登記所を見学、そこでは乙号のコンピュータ化はすでに進んでいるとのこと。見学したのは、ソウル市内にある江南(カンナン)登記所で、不動産と、法人、特殊法人と非営利法人を扱っている。98年の事件数は不動産事件で約91000件で、95パーセント以上が不動産登記事件とのこと。
職員は23人でそのうち5人が登記官、パートタイマー職員はいないということである。
全国に登記を取り扱っている所は250カ所あり、減らす予定はないが、必要があれば作っているとの説明があったようだ。
登記は,法院(日本では裁判所)が担当しており、法院、地方法院の登記課と、登記だけ扱っている登記所がその役所となっている。乙号オンラインは35カ所の登記所間で行われており、見学した登記所は2番目のコンピュータ庁で、甲号オンラインはまだ行っていない。
登記所には、謄本の自動販売機が備えてあり、隣にある不動産番号検索機を使って、不動産番号を探し出し、これを自動販売機に入力したら謄本が発行されしくみになっている。謄本は1通1200WON(108円)、他管轄の謄本は2400WON。
注目なのは、コンピュータ庁でありながら処理はブックとの併用ということ。
登録免許税は、地方税で、その納付書を添付するが、それとは別に印紙を貼っているとのことで、これは法院の登記手数料のようだ。
登記所は、月曜から土曜日まで開庁しており、3月から10月までは9時から6時、11月から2月までは9時から5時、土曜日は9時から1時まで業務をしているそうである。
5年前から、昼休みの開庁をしており、謄本の発行をしている。職員はチームを作り交代でこれに対応しているそうで、担当者は、利用者の利便のために開庁していると言っていたとのこと。登記所の主な利用者は、法務士と一般市民であるが、今は、一般市民の利用が増えてきているそうだ。見学したときも、一般利用者が多数訪れていたという。
役所は、利用しやすくしなければ、誰も利用しなくなってしまうとは、清水委員の登記所見学の感想である。
