こういうときは、例えは悪いが軍艦マーチを聞きながらビールで乾杯か、ジングルベルを聞きながらケーキを思いっきり口にほおばりたい気分だ(どちらにしても太る)。
旭川会の後藤会員が統廃合に関する訴訟を提起したことにより、法務省の推進する登記所統廃合政策は論理的にも観念的にもそして、住民感情からも説得性のないものであることが露呈された。ただ後藤氏一人で、しかも中央のマスコミに注目されない場所で行ったため、法務省と裁判所はなにがなんでも法律上の争訟性を盾に終わらしてしまおうとした。しかし、後藤訴訟により、理論・法廷での戦い方・マスコミなどの対策について、数々の財産がもたらされたといえる。その財産を充分活用して、神奈川県伊勢原市の市民が、12月22日横浜地方裁判所に「法務局の支局及び出張所設置規則」の一部改正手続きの差し止め訴訟を起こした。
後藤氏が一人で起こした統廃合に対する裁判に、ついに首都圏の市民も加わったわけだ。かつて鹿児島の松園会員が「統廃合がおかしいのはわかった、それを中央のマスコミから発信できないか」との叫びは、なんとか実現できたようだ。毎日・読売などの新聞その他のテレビも報道、NHKの取材申し込みもあった。
市民らは「行財政改革ならば納得できるが、職員を減らさず、登記所の数だけを減らすのはおかしい」と主張した。訴状の中身は後藤訴訟で主張されたことをアレンジしたものと言える。あちこちでいくつもの訴訟を起こせば、どこかで入り口は突破できそうだ。
また、原告らは「伊勢原訴訟」に関する声明文を発表、この中で、今回の統廃合が司法書士・土地家屋調査士に対する説明通告のみで、国会答弁でも約束されていた住民説明会をせずに廃庁しようとしていること、統廃合によって「行政サービスの向上」が理由になっているが、向上した行政サービスを伊勢原市民は受けられないことの不当性、「行政サービスの向上」について具体的説明がないこと、「行政の効率化」について登記関連予算及び登記所職員の削減がなされず、登記所の数だけ減らす不合理性、高額なコンピュータリース料に対する疑問などが述べられている。なおこの訴訟には、オウム裁判で有名な武井弁護士らが代理人となるそうだが、その関与方法も理想的な市民訴訟とするため訴状などは市民自らが作成し、弁護士はバックアップという形を取るようだ。
先の後藤訴訟に対する法務省の準備書面が問題にされ、民事局は知らないのではないかとの推測があったが、信頼すべき筋からの情報によれば、法務省はさすがに日本の誇る司法官僚組織だけあって、中央はすべてを知っているようだ。もしかするとあの準備書面は法務省中央の人間が作成したのかも知れない。
稲村会長のアイデアで、今回の反対署名は団体署名にしようという試みは大きな成果をあげているようだ。名のある団体の名がいくつも並んでいる。その中でも民主党が法務大臣に申し入れた文書の中身は、説得性のある内容だ。特に登記所の統廃合問題を取り上げ、手数料の増額は統廃合対象地域住民に対して二重の負担を強いることになるとし、昭和63年5月12日衆議院法務委員会で採決された附帯決議第三項「登記手数料を適正に設定し、国民の負担とならないようにすること」の趣旨に反するとしている。
法務省は後藤訴訟の中で、司法書士を登記申請に必要なある程度法律知識をもち、登記申請代理をすることにより一般人が手間暇かけて登記申請書を作成する経済的非効率性を避けることができると評価した。
一方徳島では、クレサラ相談センターを開設した徳島司法書士会に対し、徳島弁護士会は、法が司法書士に期待しているのは、国民一般として持つべき法律知識のレベルに過ぎない、従って「クレジット・サラ金問題」程度の絞りしかかけずに広範な法律相談を司法書士会として常設センターを設けて実施することは、司法書士として許される業務(司法書士法2条1項)を大きく逸脱すること論を待たない、として同センターにおける相談業務は、司法書士法2条1項の業務範囲を逸脱し、同法10条・弁護士法72条に違反する疑いが濃厚であるとしてその閉鎖を求める警告書を司法書士会に送った。
本年はお世話になりました。来年もよろしくお願い申しあげます。すでに岐阜県でも八幡の登記所で存続会が発足の予定で、北海道では伊達市が廃庁の通告を受け、反対運動を展開するようです。みなさまにも今年以上のご支援をよろしくお願いいたします。(川村記)
