裁判官ははじめから終わりたかったのであろう。12月16日に行われた後藤(羽幌)訴訟の4回目の口頭弁論には、水谷次期会長予定者をはじめ、登記手数料に関する訴訟(岩場訴訟)を提起して最高裁が1年8ヶ月の長きにわたり判決を出せないほど国を追い込んだ、「北陸の龍」岩場会員も富山から激励に駆けつけた。
これには、今や北海の?熊と言われるようになった後藤会員や山陽の虎、清水相談役も大変喜んだ。特に国に対し、勇気ある行動をとった先駆けの岩場会員に会えたことは、後藤会員にはうれしいことだったようだ。さて、裁判の方であるが、記者は第2回目で余裕ある裁判長を見、第3回目で晴山論文が出たことにより、真剣になった裁判長を見、4回目の今回は入廷した時から、何が何でも終わらせるぞという顔で入廷してきた裁判長を見た。そして彼は開口一番「結審」を口にした。
しかし、1週間前に送られてきた法務省の準備書面に対し、後藤会員は自ら準備書面を作成し、結審してしまおうとする裁判長に対し、「これで論破できます」と言い、弁護士も法務省側が新たな主張をしているので次回に反論をしたいと述べた。しかし、裁判長はすでに機は熟したとの一点張りであった。ところが主張の追完はかまわないと言ったところで後藤会員の気迫に思わず「再会するかもしれない」と発言、再び冷静になり弁論再開の必要があれば知らせるとして、強引ともいえる形で結審してしまった。判決は来年の3月3日である。
さて12月16日に陳述された法務省側の提出した準備書面の内容であるが、かなり問題の多い内容となっている。当初弁護士は、晴山論文に対する法的反論があるものと思っていたようだが、内容的にはとてもそのようなものではないと言う。また、登記所の統廃合問題や登記のコンピュータ化問題に関連して、法務省民事局がことあるごとに繰り返し述べてきた司法書士制度への期待とは何であったのだろうかと疑問に思わざるを得ない内容だ。
法務省はこの中で、登記所の管轄は不動産の所在地や会社の営業所の所在地との関係で定められたもので、利用する者は地域の住民や地元司法書士とは限らないと言い切った。そして、地域住民の利便性確保のために登記所を設置すると規定する法律はないとも言う。さらに司法書士制度は、国民が登記制度を利用するに際し、ある程度の専門知識が必要なため、一般人が手間暇かけて登記申請書類を作成するのは経済的に効率が悪いということから設けられたものだと決めつけた(国民の権利の保全など念頭にないようだ)。
司法書士と登記所の関係は、司法書士が登録をするについて、法務局管内に設立された司法書士会を経由することと懲戒権の行使以外に法的関係はなく、司法書士は全国どこの登記所も利用できると言っている。両者は法務行政の両輪との言葉を信じ、地元登記所と密接な関係をもち、日に三回は登記所に顔を出せと教えた先輩方がこれを見たらなんと思うであろうか。
法務省が我々をこのように見ているにもかかわらず、日司連は登記のエージェンシー化阻止で法務省のお先棒を担いでいてよいのであろうか。お人好しと言われてもしょうがない。はたして民事局はこの文書を了知しているのであろうか、この文書がこの先尾を引くことは確かなようだ。みなさんも全文を読まれることを期待する。
司法書士は、法務省が必要とみているうちは擁護されるであろう、そのお情けにすがりついて代書業として生きていくか(トラブルになったときだけ高度な専門家として、多額の損害賠償を請求される点は今と変わらないであろうが)。
たとえ困難でも国民に期待される職能として、規制緩和の時代を乗り切るか、選択のときはきたのかも知れない。後藤訴訟によって、法務省の言い分や裁判所の考え方はわかった。これからは各地で訴訟が提起される。
そして我々の側も理論的研究を積み重ね、体系化していくことができる。清水相談役は、「戦いは今始まったばかりだ、まだあと400以上の登記所が統廃合されていく、我々はその中で1勝すればいいのだ、その1勝で国の統廃合政策は破綻し、なくなった地域に登記所がよみがえる可能性もある」と言い切る。もちろん後藤会員も札幌高裁に行くつもりだ。我々も飛行機で、北斗星で駆けつけよう。
水谷副会長が元気だ。ふぐの毒の影響で被災者援護法支援の座り込みではちょっと体調を崩したが、旭川では元気な姿で登場だ。加藤・稲村と二代会長を見てきたが、再来年まで元気でいてほしいと思うのは私だけか。(川村記)
