7月22日に行われた後藤(羽幌)訴訟の2回目の口頭弁論には、山形から旭川入りした稲村会長をはじめ前日まで熊本にいた川村委員や後藤会員を尊敬しているという後閑東京会会員、札幌青司会メンバーそしてもちろん「大安の日でも気にしないで全国を飛び回る男」広島の清水委員や大安の日ということで清水の舞台から飛び下りるつもりで来た小儀統廃合委員会事務局長他小山日司政連副会長などが地元旭川会員とともに傍聴した。
傍聴席にはこれら司法書士仲間をはじめ司法記者多数が入り、30名の傍聴席は満員となった。一方の法務省側は6人(2人は元羽幌法務局職員)で我々を迎え撃つ態勢で着席した。さて、肝心の裁判であるが、男女二人の陪席を従えて入廷した裁判官は理知的でやさしい感じの人で、さっそく分かりやすい語り口で意見書の朗読を許可した旨を伝えた。
後藤会員は真ん中で20分にわたり意見書を朗読した。意見書の内容は登記所統廃合により登記申請をするについて生じる過大な負担を地域住民に強いるのは憲法14条で定めた法の下の平等に反するか否か。統廃合は地域に住む司法書士の利益に係わる問題という点で具体的権利の侵害について「事件性」「争訟性」の要件を満たしているか否か。統廃合に至る過程での国の行政執行行為に重大な瑕疵(国会答弁で約束した住民説明会を開催しないことについて)が存在するか否か、という3点について裁判所の判断を求めたいというものである。
意見書を読み上げた後、温厚かつ理知的な雰囲気の裁判官はその雰囲気のまま結審したい旨の発言をしたため、後藤支援団はなにやら助けられる寸前にロープを切断されたような気持ちに襲われたが早速弁護団から新しい主張(福島大学晴山先生を証人に迎えて)がある旨の発言があり、次回期日は10月21日(仏滅)と決まった。(川村記)
7月24日、倉田安雄・大分地方法務局豊後高田支局を守る会会長(豊後高田市長)が同支局の存続についての要望書を提出するのにともなって、地元を中心に100名が大分地方法務局に結集した。全青司では、旭川からの連投となる稲村会長と清水統廃合委員、この週2回目の九州登場となる竹村副会長、地元の和田副会長が前日から仕事を控えて万全を期せば、工藤常任は、奥さんが愛児の手を引き、一家総出の出陣となった。
豊後高田支局管轄の市町村長をはじめ国政の場にある釘宮蕃参議院議員も参加。4名の新聞記者とテレビクルーもほぼ最後まで同行した。会場となった庁舎4階の会議室では要望書提出に先立ち「守る会」の決起集会が行われた。大分司法書士会の堀会長は「地域の皆さんと共に」統廃合に反対していくと力強く発言。また小林日司政連副会長は東京調布出張所の統廃合に触れた。その中で、「東京は統廃合の通告後実施まで4年の猶予があるのに豊後高田は2年しかない」という事実が法務省に対するさらなる不信を呼んだ。
要望書の提出には法務局から大谷大分地方法務局長以下4名の幹部が出席した。「明治20年以来100有余年存続した豊後高田支局を統廃合の通知後わずか2年たらずで国の方針といった一方的な理由づけで、強引に廃庁しようとしている」など、地元の実情を考慮せず既定路線のように突っ走る法務省の統廃合政策について指弾する「要望書」を倉田市長が読み上げたのに対し、大谷局長は、要望書」を受け取り、「厳しいご意見だ。統廃合は国の方針に基づき、また平成7年の民行審答申に基づくものでありご理解願いたい」と、型どおりの発言をした。むろん、このような発言に納得する者はいない。法務局の姿勢に激しい反発の声が会場からわき起こった。
豊後高田在住の川村司法書士や、豊後高田市議会副議長などが「国家官僚の暴政だ」「統廃合反対署名の重さをどう考えているのか?」と間断なく質問や意見を局長に浴びせた。局長の回答は、概ね、かねてからの法務省の見解を繰り返しただけだが、激しいやりとりの末、注目すべき発言、本音ともとれる発言がいくつかあった。その第1は、「議会が反対決議をした意味を理解しているのか」と問いかけられ、局長は「市町村議会に出かける」というものである。統廃合問題のために地方法務局長が出席するなど、前代未聞のことではないだろうか。続いて「議会に出かけて何をするのか方針を変えることもあり得るのか」という質問に対して、局長は、「それは、説明するだけです」と言って、失笑をかったのだが、「局長招致」は是非とも実現してもらいたい。そのうえで、議会の意志を改めて通告してもらいたい。
第2は、「住民の意思を聞いているのか」という質問に対して、局長は「聞いていません」と答えた場面。住民の意思などお構いなしに突っ走る統廃合政策を、はからずも露呈することとなった。そして、釘宮参議院議員が、「交通の発達した都市部においての統廃合ならば理屈はわかるが、過疎化No.1の大分県、そこが最も統廃合が進んでいるというのは承伏できない。
弱い者が、まず犠牲になっているということではないか。」と理路整然と述べたところ、それまでの詰問調の発言に昂ぶっていた局長、ほっとしたのか、「(統廃合により)弱者を切り捨てている側面もある」と認めてしまった。法務局側が弱者切り捨てと認識する統廃合政策とは、誰のために行われるものなのだろうか、改めて、この問題の大きさを考えさせられることとなった。統廃合問題は、単に法務局の役所を潰すだけの問題ではない中央と地方、行政のあり方、民主主義など現代の日本が抱える問題の縮図だ。だからこそ人々は発言するのだ。(竹村記)
