見捨てないで27


感動の闘い!陸前高田


10月11日陸前高田市の法務局の統廃合に反対する市民集会が開催され、その後、翌12日にかけて登記簿等の搬出作業が行われた。因島のような住民の反対の声の前での作業ではなかったが、挨拶に来た法務局長に対する陸前高田市長をはじめとする法務局存置委員会の人々の発言はまさに感動的であり、市民に基盤を置くべき司法書士必見の場面であった。また、あらゆる研修会よりも有益であったとも言える。陸前高田市の2日間について報告したい。


怒りと心配の法務当局?

これより前、全青司が日司政連の協力のもと、法務大臣に登記所統廃合に関する要望書を提出したことに対し、法務官僚から全青司及び日司政連に対する怒りと日司連に対し、両団体を指導できない不満が噴出したとの伝聞情報が飛び回り、また、陸前高田市の統廃合に関する全青司の動きについての情報収集の動きが活発であるとの伝聞情報も流れた。

一方、盛岡地方法務局の梅津局長は8日岩手本会を訪れ、陸前高田市の統廃合について、実力行動に関しては警察力の導入も辞さない、すでに7日に陸前高田の警察署長にもその旨申し入れをしたことを伝えた(しかし、そのことは存置委員会の人々の態度を硬化させた)。また、司法書士を監督するのは法務省であると発言、全青司の行動を抑える旨の申し入れをしたそうだ。(局長は同じ法務省の小林統廃合対策室長が念願しているらしい、「司法書士は市民に基盤を置くべき」という意見を知らないようだ)。


500人が結集した市民集会

11日午後1時30分より法務局前で市民集会が開催された。市民集会は前日、新聞に折り込み広告を出しただけ、不測の事態が起こることを心配した市長が、法務局の具体的な作業が始まる前の時間に終了するように時間を決めた他、市民に対する動員もせず、選挙の宣伝カーの立ち入りも抑えたため、当初は100人も集まればと思っていたところ、500人近くの市民が集まった。

司法書士も地元をはじめ、全青司では岩手会・宮城会を中心に旭川・広島・群馬・長野・静岡・青森・東京から、また日司政連も小林副会長をはじめとする幹部が参加、総勢約30名が集まった。集会では存置委員会の河野会長(名手酔仙酒造会長)が怒りの演説をしたのを始め、市長が話し合いによる解決を目指し努力している中での強行な統廃合を批判、また県議は法務局が国の機関ではあるがわが町の城として、新築したときに皆で引っ越しを手伝った話や法務局を市の重要施設の集まっている地域に置いた話などを披露した。この他清水副会長が法務局長に対し、ここにきて住民に説明するように呼びかけ、また広島会村上統廃合委員は、統廃合後の因島の状況を説明した。他の人々の発言の合間には豊後高田市をはじめ多数の激励の電報も披露された。


市長!法務局長を叱責

集会後、全青司・日司政連のメンバーは存置委員会の人々とともに市長を囲んでの懇談会を行っていたところ梅津法務局長が来庁した。法務局長が長年世話になった旨のあいさつを始めたところ、市長はこのようなことをされて困っていると発言。事務次官など法務省上層部とは話し合いで解決する旨の合意があった、市としては行政改革に反対するものではなく、また統廃合についても未来永劫絶対反対というわけではなく、市の事業が終わる3年間とコンピュータ化による端末の設置など市民の利便性が確保される見通しがつくことによる市民の説得ということから、しばらく待ってほしい、話し合いによる落とし所を

話し合いによって探そうという姿勢だった、なのになぜそんなに急いで統合するのか。

市長が話し合いで決めると市民に言っているのに、新聞に統合の折り込みを入れ、掲示までした、強行あるのみという姿勢ではないか。短刀を突きつけるようにいきなり貼り紙をされても市長としては困る。法務局とは人権擁護や戸籍で信頼関係を築き上げてきたのに、話し合いができると思っていた。細切れの延期ではなく市民を説得できるだけの期間、延期していただき円満に解決したかったのに。市長は統廃合をまだ認めていない、なにか問題が起こったら法的手段に訴える。すでに弁護士に相談している。

あなた方が勝手にやったんだから、これから生じる事の一切の責任はあなたにあると強烈に局長を非難した。また最後にはこういう行政改革は間違いだ、国民の方へ目を向けた法務行政はできないのか。市民生活では互いに助け合い、譲り合いという情がなくてはだめだ。情がなくては市は経営できない。法務行政だけはどうもおかしい。我々は足を棒にして市民の声を聞き、頭を下げて盛岡や東京に行く。座っているだけではだめなんだとも発言した。


存置委員怒りの発言

この他にも存置委員会各委員が局長に対し、「陸前高田3万人の犠牲の上に出世したということを一生涯胸に刻め」「地域との信頼関係を踏みにじったのは局長だ」「法務省上層部は話し合い解決ということを理解していたが出先がどういう判断で強行したのか」「このようなやり方をして人間として満足か」「闇討ちだ」「やり方が汚い」「市民集会にどうして出て来なかったのか」「なぜ我々の写真を撮ったのか」などの発言があった。

一方局長は、統廃合については登記事務処理においてミスを防ぐには何人もの目を経ることが必要だ、事務処理体制充実のためなどを理由として挙げていた。これに対し、陸前高田市は2人で十分処理できるし、むづかしい問題は相談すればよいではないか。いままで高田出張所に対し、ミスがあったとか事務処理が遅いなどとの苦情は聞いたことがない。職員の皆さんはよくやってくれている。局長のいう統合の理由はいま緊急に統合する理由にはならない。公務員は税金で食べている、その税金は誰が負担するのか考えてほしい。などの発言が相次いだ。


法務局を見守る全青司と市職員

午後5時から全青司のメンバーと市職員が法務局前に集合、法務局の作業を見守ったが、午後7時作業を止めた法務局に対し、作業が終わったなら電気を消すよう要請、職員も要請に応えたため解散となった。因島のような夜逃げはここでは起きなかった。なお、市からはバスを用意していただいたり夜食の提供の申し入れまでしていただくなど気を使っていただいた。


居酒屋での市長とのひととき

市民派市長とでもいうべき市長は、忙しい中我々が居酒屋に居たところにもお寄りいただいた。政治家に対する不信感が高まる昨今、なにか希望が湧いてくるような市長との出会いであった。


ついに廃止!盛岡地方「無法」局高田出張所

翌12日、統合への作業は整然と行われた。全青司及び日司政連と市職員はその作業をじっと見守った。市職員の一人が近寄ったところ「近寄るな」と言われたと敷地から出てきたが運び出される大量のマイラー図面を見ながら「あの図面は俺たちが作ったんだ」と無念そう。また別の職員は「法務局でなく無法局だ」とぽつり、いままで同じ公務員同士陸前高田市発展のため色々助け合ってきたのにという無念と落胆の表情が統廃合問題の別の一面を現していた。

作業終了後、見守った人々の間から局長の挨拶がないとの指摘があり、作業着姿の局長が帽子をちょと取って「無事終わりました」とにこにこしながら一言。因島の時とは随分違う印象を持った。なお、運送業者のトラックに「大切な」登記簿等を積載するのに、これ迄は助手席に法務局職員が同乗していたが、今回は後ろに法務局職員の乗った車はいるものの、トラックは業者の運転手一人のみの単独で走っていった。これならば宅急便で送るのと同じである。

途中で事故等になった場合どう対処するつもりであったのか。これ迄事故なくやってきたのに、途中割り込み等で事故の可能性も出てくると思うが。


無駄遣いを会計検査院へ訴える

副議長が保育園の統合と補助金の問題を例に出し、17年使用する条件で保育園の建て替えを行い、補助金を支給してもらったが、園児減少により12年で閉鎖することになったところ、会計検査院より補助金の返還を求められた。国は52年に建築した庁舎を20年も使わないうちに解体しても何も言われないのかと発言。市長も土地は市のものだから更地で返却してもらうが、解体費用について会計検査院に訴えるつもりだと発言。北海道でも統合が決まってから改築した天塩や新築後5年で統合した美深の法務局について会計検査院に訴える動きがあるようだ。


白馬・信濃の統廃合は延期

長野地方法務局白馬・信濃出張所は地元が統合について理解するに至っていないので適正配置の必要性について説明する機会を設けるため、との理由で統合を延期した。因島に続いての住民説明会開催の可能性があり、注目すべき地域だ。